「スーベレーン」とはドイツ語で『優れもの』を意味する言葉ですが、ペンマニアがこの言葉を聞くとペリカン社の万年筆を思い浮かべる人が多いと思います。クオリティの高さと優雅なデザインでファンが多く、非常に人気が高いベストセラーシリーズです。
スーベレーンシリーズは万年筆の印象が強いですが、他にもボールペンやシャーペンも販売されています。
今回はペリカンの油性ボールペン『スーベレーン K400』のレビューを綴っていきます。スーベレーンシリーズとして優雅なデザインが魅力的ですが、しかし価格の割に作りが甘く感じられるのが少々気になってしまうボールペンです。
デザイン
優雅で上品な佇まい
スーベレーンK400最大の魅力はデザインでしょう。ストライプ模様が美しく、金トリムも含め、優雅で上品な雰囲気にまとまっています。
スーベレーンはボールペンに限らず他のペンでもストライプ模様を採用していますが、高級感もありながら遊び心も感じられるデザインとなっています。
またクリップはペリカンのくちばしをイメージした形となっており、ここも遊び心を感じられるところです。じっくり見てみると目があり、そこからくちばしが伸びています。
またノック部分には狭い面積ながらも、社名やブランド名の由来となっているペリカン像が描かれています。
余談になりますがペリカンの親子はヨーロッパでは母子愛の象徴とされています。それ故にペリカンのペンは親から子へ、師から弟子への贈り物として人気があります。
高級ボールペンでは珍しいノック式
高級ボールペンは軸を回転してペン先を出す回転繰り出し式を採用しているボールペンが多いのですが、スーベレーンK400はノック式を採用しています。高級ボールペンとしては珍しい繰り出し方式です。
ノック式のメリットとしては素早くペン先が繰り出せるところにありますが、一方でカチッカチッという音がややチープに感じられます。
ちなみに同シリーズのスーベレーンK800とK600、K300は回転繰り出し式を採用しています。スーベレーンのボールペンでノック式を採用しているのはK400のみ。
樹脂製で軽量な軸
軸が樹脂製なので重量は17グラムとかなり軽量。
見た目は重厚感がありますが、握ったときの軽さと外見とでギャップを感じることでしょう。
書きやすさ
重心は高め
ペンの重心は、ペン尻側の方が重く感じられます。ノック部分のパーツやクリップがある分、ペン先よりもペン尻側の方に重心が寄ります。
そのためペンを垂直に近い角度で握るよりも、ある程度寝かせた角度で握った方が違和感無く書けます。
書き味
さて問題の書き味ですが、正直あまり書き味が良いとは言えません。
書き始めで掠れやすく、またある程度筆圧を込めないとインクが出にくく、書き味は重めです。
ペン先がブレて、振動が手に伝わる
インクの質が悪いだけならリフィルを交換して何とかなるのですが、それ以外にも書く際にカタカタと音がなり、その振動が指や手に伝わってきます。
ペン先(のチップと呼ばれる部分)の直径と比較して、ペン先が出てくる穴の直径が大きく、書く際にペン先が僅かにブレます。このブレが音や振動の原因となり、ストレスを感じてしまいます。
率直に、このブレがとても残念なボールペンです。老舗ブランドの高級ボールペンとして細部にこだわって作ってほしいものですが、スーベレーンK400は作りが甘く感じます。
ジェットストリームのリフィルに対応
ちなみにスーベレーンK400はパーカータイプリフィルを採用しています。そのためジェットストリーム(SXR-600)のリフィルに換装可能です。
リフィルを換えるだけでも掠れることがなくなり、書き味も軽くなるので、かなり快適になります。なのでスーベレーンK400を使うなら、ジェットストリームのリフィルに換えるのをおすすめします。
ただしリフィルを換えてもペン先のブレがなくなるわけではないためご注意を。
最後に
- デザインは素晴らしく、金トリムや縦縞模様が上品
- ノック式ですぐにペン先が出せるが、ノック音がチープに感じられる
- ペン先が出てくる穴が、リフィルのペン先部分の直径よりも広く、書く際にややブレる
デザイン的には素晴らしいです。ペリカンのスーベレーンシリーズならではのストライプ模様が美しく優雅で、高級感のあるボールペンです。
しかしノック音のチープさや、ペン先が出てくる穴が広い等、作りが甘いと感じます。スーベレーンK400は通常価格19,800円(税抜)の高級ボールペンですが、価格の割に緻密さに欠けると言わざるを得ません。
ノック式が良かったりデザインで選ぶならありですが、そうでないなら敢えてK400を選ぶ必要はないと思います。